†  Diary - 2003/07 -  †

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07 月 01 日(Tuesday)
 今日は名古屋周辺の高速道路に泣かされ、己がいかに田舎者かを知らさ

れました。昼前に出かけて『行き』はすんなり行けたので2時半に帰路につけ

ば余裕と・・・名古屋の町を後にする。ところが『帰り』は静岡方面に乗ってし

まい次のインターでUターン。『また、静岡方面に行ったりして・・』と僕の冗談

に嫁も最初は笑ってました。今度は名古屋市内で路線変更を誤って降りて

しまい再びインターチェンジに挑む・・・と今度はなぜか首都高速に突入!

次第に嫁も無口に・・・。なかなか降りれずとんでもないとこに出てしまう。

しょうがなく下道で岐阜へと向かい、嫁終始無言でした・・・。

 今夜は鵜飼があったが運転中激しい雨が一日中降っているので、中止か

否か家に電話で聞くが『大丈夫!あります』の返事。焦っても道路は混雑。

結局ぎりぎりの5時20分に到着。帰って急いで鵜飼の準備。鵜を籠に入れ

夜の餌の準備、たいまつ用の松の小割り、手縄の準備・・・首結いの紐が

梅雨のせいでカビて切れそう!慌てて全部とっかえて、忙しい夕方でした。

 雨の中行われた鵜飼。しかし薄濁りの高水位に加えて風も吹いてくれた

せいもあっていっぱい鮎を咥えた・・・というか取りっ放し。途中客船が行く手

をさえぎり、かがり火が当たりそうになったので、うちの船頭の罵声が小瀬

の河原中に響いて客も驚いていた。危険回避の為、叱ることもあるので

その際はご勘弁を。年に2、3回はありますので。

 廻し場で熱心に質問されてました外国人家族。6年間日本に在籍して初

の鵜飼見物らしく、付き添いの名古屋の女性の父親に『鵜飼みるなら小瀬

がいいよ』と勧められて来た、と。鵜飼後、感激の声を聞き嬉しくて鵜の庭

を見せてあげました。しかしずしりと手に感じる鮎の入った吐籠は気分いい。                                           


07 月 02 日(Wednesday)
 もうすぐ七夕という。そう、夏至も過ぎて知らぬ間に7月になってたんだ。

昨晩嫁が折り紙で飾りをいっぱい作ったらしく、竹を切ってきてと頼まれる。

竹なら観覧席にあるじゃ〜ないか、と・・・見ると葉っぱがあまり無い。

鵜が退屈ついでにほとんどついばんでしまっていたんです。坊連れて竹薮

へと向かうと、既に父が取りに行ってて片手に携えてました。それを受取り

2人して担ぐと『わっしょい、わっしょい!』とお神輿気分で帰る。

 家に着くと何やら取材班のような人が多数いる。でも40代くらいの女性

から6,70才のおじいさんまでいるし。聞くとどうやらご趣味の集まりだとか。

その中のボスはNHKの〜紀行の撮影を務めた方でして、どうやら皆で旅行

をしながらわき合いあい・・・の撮影サークルでしょうか。嫁さんが竹に飾りを

付けるのまで撮られて照れくさそうにしてました。

 まるで取材人のように(顔負け?)屋敷中を撮影。俳句の会の方々の訪問

の時もそうだが、とても賑やかになり庭の木々や苔が一層愛想を振り撒く。

一方鵜達は暑さにその余裕は無い様子。申し訳なくも僕としては鵜が大事。

お声をかけてから間もなく籠に入れ、軒下で涼ませる。

 今晩の鵜飼はうちの番じゃなかったが、お客さんの下船を待ってから庭で

1羽づつ餌をやり池に放つ。川の状況が昨晩と違ってあまり鮎を捕らえるの

が見えなかったようで、余計にこの光景に喜ばれ 『鵜の風圧を感じるわ!

こりゃ〜、明日の朝も楽しみだ。いつ鵜は起きますかな?』 逆に何時が

よろしいか尋ねると 『年寄りやから早く目が覚めます!』

 ・・・なるべく早く起きます。でも、声に出して『何時』の約束は出来ず・・・



07 月 03 日(Thursday)
 夕方から激しく雨が降る・・・との天気予報は見事に的中しました。鵜飼の

準備の頃(5時半)から雨足が強まり始め,ちょうどその頃僕のHPを御覧に

なったお客さんが到着しました。『こんな雨の中遠いところから来て頂・・・』

と母が言うと、こっち(小瀬)はまだましだと言われる。どうやら本降りになり

そうだと思いまして脂の多くふくんだ松を多めに持って上流へ。

本日は中乗りが秘密兵器持参、といってもただの『傘』なのだが鵜の雨除け

シートの中に忍ばせてありました。おかげで火も早く付きまして、雨の中焚き

火を囲んで時間を待つ。

 どうも雨の降る日は鵜が怒る。僕が鵜を縛る際に鵜がいつになく暴れるの

だが、理由は鵜の首ったまをもつ船頭が原因・・・頭に被る雨笠が気に入ら

ないらしい。僕は鵜飼の時にカッパを着ないのでどうせ濡れるし、また邪魔

でもあるので取るが船頭はそうもいかない。特にひどい雨だし・・・『脱いで』

とは言えない。縛る間にすっかりずぶ濡れ。

 この雨が嫌で船客にキャンセルが出たので遊船はホテルの一艘のみ。

すぐにかがりに火をつける。強い雨のわりには火がよく燃えたが、川の濁り

が濃くなり、いい形の鮎を12,3匹と大きなオイカワ1匹にとどまる。途中、

古参の鵜がウナギらしきものを咥えたがすぐに『ぺっ!』と放ってた。

 鵜飼を見なかったうちのお客さん。庭で餌やりを見せるもすぐに鳥屋に入

れてしまってごめんなさい。羽が乾かないので・・・それでも大変喜ばれて

また是非来ます、と。時代のわりには理解力があり感性の豊かなお客様が

多いのだが、御新規さんもそうなのは不思議です。『篩(ふるい)』は母かな

とも思う。彼女、良く言えば竹を割ったようなあっさりした性格。ただかなり気

が強いので、その言葉尻の強さ故にお客を怒らすこともしばしばあり、その

ことで僕が注意しても知らんぷり。まあ、あちらに非があることも多い?にし

ても、うちはお客さん相手の商売。ほうきをかざして客に帰れ!と言い、目の

前で『塩持って来い!』と撒いてた十六代目の芳男に近いか。彼に塩を渡し

た歴を持つ母でもある。

 その強烈な個性はお客様からすると、いわゆる『名物女将』になるらしいが

僕には単なる悩みの種・・・もちろん商売の才はすごいですがね。


07 月 04 日(Friday)
 山百合が豪快に咲いている(information参照)。写真家の古田さんが父

と写真を撮っている。盗作されたことも大きく新聞にて取り上げてもらい、

多くの人から励ましのエールをもらって一段落の様子です。その芸術家さん

には気の毒な事態にもなったが、こういう公の仕事は必ず『公』の機関から

作者への話があるはずだし、どんな構図でもOKのはずは無いように思える。

ましてそこの出すパンフレットからそっくりの構図が二つ・・・言い逃れは苦し

くみえるのが一般の考えでしょう。

実際のところは解からないが、にわかには信じられない話である。

(お知りでない方は数日前の新聞を見て下さい。感想があればBBSで)

 
 ところで今日はやけに蚊が多い。屋敷のすべての水甕には次の世代が

うようよ・・・。本物のめだかを貰いに行く暇が無かったので延ばしていたが

もう放っておけない。よってホームセンターでヒメダカを50匹購入し、坊主と

共に各々の甕に分けて入れる。すると、『パクパク・・・』食うわ食うわ。

明日もどうぞ、食べてくださいな。まだまだいっぱいありますので・・・。

 も一つ、ところで今年も冬虫夏草は出てくるだろうか?雨も多いし暑くなり

そうだし期待は出来そう。じきに蝉も鳴き始めること・・・


07 月 05 日(Saturday)
 昨日日記に書いたと思ったら、高台にある寺の大イチョウの木から聞こえ

てくる・・・初の蝉の鳴き声を聞きました。まだ1ッ匹である。それじゃー庭の

地表近くに来てるはずだと杉苔の上を見てまわると、ありました。冬虫夏草!

毎年同じ場所に7、8本でてくるんだが、まだ1つだけ。  4,5年前に新聞の

記事を見てうちにもあるのでは?と探してみたのがきっかけで、それから毎

年見つけては楽しんでます。中国のオリンピック選手団が服用してたという

ことで、(当時はここらでちょっとばかし騒がれもしていた)興味本位で乾燥

させてかじったりもしたが、だからといって当然筋肉むくむきになることもなく

変化はありませんでした。ただ単純な僕は少しだけ強くなったような気が(笑)

 
 今日も雨の中の鵜飼。開始前、鵜を縛る時に船頭が顔をやられた。この前

とは違う鵜だが、そいつと同期の比較的若い鵜で・・・。今日も夕方 『この間

の鵜は持ってきてないやろうな?』 と言われまして、そうじゃないことを知って

気が抜けたのか頬を嘴でやられました。あくまで野生の鵜です。経験が乏し

い鵜ほどいつもと違う環境ではどうしても目が鋭さを帯びるので、注意が必要

である。扱い方を乱雑にしようもんならいつか血を見る目にあうし・・・。

 鵜飼が武士の嗜み(たしなみ)でもあったのは自己鍛錬のため。つまり鋭気

を内に養いつつも日々の生活には表さず自己管理を徹底して貫くことを目的

としていたらしいのだが、今にも通じている。最近はただただおとなしい鵜に

してしまう風潮が場所によってあるみたいだが、人間もまた是と同じかな。

野生の鵜を使う本当の理由は鵜匠の自己鍛錬と父が小さな頃から言ってた。

『ふーん』と何気なく聞いていた言葉が今になってやっと響き始めた。

 



07 月 06 日(Sunday)
 今日は朝8時から船洗いとなっていた。鳥屋の掃除にお客様の説明もあっ

た為に、船頭に連絡してうちだけ9時半から開始とする。昨日屋形船にて

鵜飼見物されたお客様。常連の有名な教授でしたが、その方に大変貴重な

アドバイスをいただく。曰く 『昨日のような鵜飼は淋しい。あちらで待つ時間

が長すぎる。船頭さんにはあまり説明してもらえなかったし・・・水が高いせ

いもあっていかにも下るのが早い』、と。一応僕の技術力の向上を誉めては

もらえましたが・・・真剣に悩んでしまった。上手に話せる船頭もいれば・・・・

船頭と話あってこれからはお客の要望あらば船に赴き、短くとも説明をしに

行こうかと思う。迷惑がる者も出てくるかも知れませんが、それで船頭に積極

的な気持ちが芽生えることを願う、とお話を括って退席する。

 
 大変な船洗いでした。終わりがけに船頭が気分を悪くして救急車で運ばれ

ました。鵜飼開き直前の船洗いの時も、終わりがけに蕁麻疹が出て休むこと

があったが今回はひどかった。上流で洗っていて船頭の携帯電話に母から

『用事、すぐ帰れ』 の連絡の直後の出来事だったことと、艫乗りの早い救急

車への連絡もあって無事。病院の先生の話では危なかったそう・・と付き添っ

て行ってくれた嫁に聞く。

大事なうちの船頭。大丈夫らしくも今日は大事を取って休ませることに。

 夕方には無事検査も終え家に帰っていたようなので艫乗りと2人で様子を

見に行くと礼の挨拶のあと 『鵜匠の嫁さんに付き添ってもらったが、医者の

言う事聞いとくれ。失礼ですが、嫁さんですか?やと。ええ加減にせなあか

んて!ガハハ』 ・・・顔色は万全ではないようでしたが、無事で何より。

 鵜飼。気を持ち直し、朝の話を胸に秘めて今日から積極的にお客さんに

廻し場へ来て下さい、との言葉をかける。目を輝かせて『行きます!』の声。

鵜を籠から出して健康を調べながら説明させていただきました。熱心に聞

いてもらい僕の方が感激!

 朝の教授の話、『いくらいい景色でも1時間は待ってられんよ・・・初めての

客なら感動もあるが毎年来てるとな・・・これじゃ、すたれるて。』

 とりあえず一つの結果は出しましたよ、教授!でも問題は雨の日です・・・。


07 月 07 日(Monday)
 
 そういや今日も高速道路を乗り違えかけたが、未遂に終わる。名古屋空港

から帰るところでもうすぐ東海北陸自動車道の一ノ宮インターでした。そこへ

母からの電話。嫁 『あっ!今インターの入り口。あと20分ほどで・・・』 緑の

看板が目に入った僕は無意識にそっちへと。実は手前の名神高速の入り口

だったのです。料金所前でぎりぎりUターン!冷や汗でました。

 このように鵜との暮らしをしてると外出もままならず、ちょっと町を出ると痛

い目に会うことの多いこと。ただ単にボケーっとしてるだけか?


07 月 08 日(Tuesday)
 今日は家族でうなぎを食べに出かけました。岐阜県は関市でうなぎ?と

不思議に思う方も多いでしょうが、なぜか本当においしいうなぎ屋が多いん

ですよ。有名どころの『辻屋』に始まって 『しげ吉』、『まごろく』、 『三好亭』、

『角丸』・・・。僕は家に最も近い 『しげ吉』 か、老舗の 『辻屋』 を愛用。

今日は後者のお店。歴史を感じる建物でうなぎの寝床のような細長い造り

である。座敷に上がると奥の窓の外に水車が回るのが見える。そしてひょっ

こり顔を出す紫陽花が実にきれいだった。


07 月 09 日(Wednesday)
 昼過ぎにカネモの船頭の家へ足半(あしなか:鵜飼屋が河原を走るのに

使用する足半分の大きさのわらじ)を作りにでかける。現在練習中!


 今日の長良川の高水位に加えてこの天気。さらに降ったら・・・決断に迷い

があったが鵜飼に絶好の状態となりました。ただ靄(もや)がひどくて危ない

し、中乗り船頭も病み上がりだから無理して川下へ下らないようにと父に念

を押されました。鵜飼前にその船頭の家へ様子を見に行く。その奥さんにも

許可と確認は取っておかねば・・・。父や僕の心配をよそに 『今日行かなどう

するって。体もこの通り大丈夫×2!。』

 夕方鵜飼へ出かける。さすがに川(幅)は大きく、よく引いている(流れが速

い意)。くじ引きは奥。またしても初川においてトップバッター。最初の瀬では

あまり捕らなかったがトロ場に入ってから次々に咥えにかかり、次の鮎之瀬

に差し掛かると捕るは捕るは!喉の膨れ上がった鵜を寄せては吐かせ、の

繰り返し。波しぶきの中、荒馬にまたがったように上下に揺れる鵜船に船頭

達は 『ほりゃ〜!』 『うほ〜!』 と気持ちは高揚。やっぱりこの大きな瀬を

下る緊張感と迫力はたまらない。鵜飼屋冥利に尽きる。

途中面白かったのは大きなウグイを咥えた時、最初の1羽が咥えると隣の

鵜が横取り。さらにそいつがもたもたしてたから、また別のが咥えてモノに。

そんな暇あったら潜って別のを捕ってくれと言いたいが、僕の仕込みが悪い

のでしょうね。しかしよく捕った。雑魚はそのウグイを含めて5匹、鮎は80匹。

大きな立派な鮎が目立ちました。船頭達もびっくりし、足取り軽く瀬を戻る。

さらに家で待つ人間も驚く。父だけは昔はこれの10倍は・・・と水も差すが

結構驚いてました。

 車中式部官に大変興味深い事や面白い話を、嫁と2人で聞かせてもらい

ながら献上鮎を無事お届けする。船頭も鵜も本当にご苦労様でした。



07 月 10 日(Thursday)
 冷たい長良川の水にこのじめじめした天気。おかげで夕方から靄に覆わ

れてくる。空も暗く静まりかえり鵜飼の始まる頃・・・ごろごろと鳴りだしたと

思うと雷光とともに雨が強く降ってきた。今日の鵜飼、うちは休み。坊主と

へそを隠して走り回る。

 遊船が到着したがあいにくの雨で庭での餌やり風景をお客さんにお見せで

きないことを告げる。そして雨で大変だったでしょう、と話しかけましたら

 『いや〜、粋な演出だね!夕方の靄(もや)に鵜飼開始と同時に雨、雷・・・。

素敵でした。本当に良かった』 と新潟からのお客人。

 このような物事を肌で感ずることの出来る人って素敵に思えた。逆にこの種

の人達に見放されたら、それは悲しい鵜飼だわ。 自然、人、時代背景。全て

が鵜飼の存続に絡んでくるが、すべてが細い無数の糸で何とか束ねられてい

る状況で、想像以上に不安定。鮎の遡上みたく、僕の手縄捌きみたく・・・


07 月 11 日(Friday)
 母屋や鳥屋の土間がべったり濡れている。相当な『いきり』ようである。

ここらでは雨が降る前の蒸し暑いことを『すごい、いきる』と言います。女衆

は皆買い物に出かけ、一人母屋で坊主の面倒。襖の向こう側でやりだす。

『なん、なん、なん(拝)・・・ちーん!なんなんちーん!(拝)』 彼の信仰心の

深さは見上げたもの。『ね、(ご先祖様)なんて言うた〜?』 ちょっとうるさい

(怒!)って言ってるんやな〜い、と心で呟く・・・放っておくと激しくやりちらす。

 父が帰ってきたので代わってもらい、掃除途中の鳥屋へ降りる。ゴロゴロ

空が鳴り始め、デッキブラシはしゅしゅしゅしゅしゅーっと超高速運動。滝の

ような汗が流れて止まない。雨水の流れるトヨが葉っぱで詰まっていたこと

が昨日の雨で判明してた為、今度は急いでハシゴを架けて母屋の屋根へと

登る。こりゃ〜流れんわ、という状態でした。雨もぽつりと落ってきたので急い

でかき集める。汗だくの僕を下の庭から 『何しとる?』 の冷たい鵜の視線。

 ざーざー降りの1分前、こりゃいかんと慌てて降りようとすると軒瓦がずん

と沈む・・・腐ってる。母屋の横並びに明治時代に建てられた茶室の方。

江戸期の母屋は大丈夫だろうかと、かなり心配になった・・・ハシゴを飛んで

降り、鵜を鳥屋へと追いやった。
 



07 月 12 日(Saturday)
 昨晩のどしゃぶりの雨で鵜飼は昨日のうちに中止が予想された。昨晩連絡

がつかなかったお客さんに朝対応。大半は日延べの勧めに応じられたが、

半分の方はみえることに。(予定変更できないとか、それでも行きたい・・・)

 昼前に魚田さんが到着。長良川の高水位と、さらに土日にまたがることに

より鮎の相場は異常な高騰ぶり。そんな中を少々小ぶりながらもとても良質

の鮎をぎりぎり揃えていただきました。本当に感謝!鮎の値よりも『もの』の

良さに喜んで仕分けを行う(informationにてその写真掲載)。

途中、宇宙人さんとひまわりさんがファンファーレ?と共に訪問。かなり・・・

びっくりしました!自称晴れ男と晴れ女の2人・・・今日はいろんな意味で、

暑い陽気となりました。

 そんな中前日お断りしてもらった昼客2組が庭だけでも、と訪問。そして3時

には福井から鵜飼を見に来た若い女の子達。嫁の言葉と同じで何とも柔らか

い方言。『二つ』の理由でさー入って鵜でも見てきなさいっ!と言葉をかける。

 夕方の食事後。鵜飼なくも来ていただいたお客様方に庭でお詫びと説明。

遠くは栃木県や埼玉県からの観光客で1人は10年程前にもみえたそうで・・・

ちょっと恐持ての顔ぶれのおじさん方でしたが、僕の拙くも熱だけがこもった

説明に、首を『うん、うん』と縦に深くうなずいては熱心に聞いてもらえました。

途中、女将が鮎雑炊できましたよ〜、の声に 『雑炊なんかいつでも食える!

ここで話を聞いてた方がええ、為になる。学校の先生に聞かさなあかんわ!』

そう言いつつも、僕の半端な説明にも引き際心得たお客様は拍手で退席!

『15分って言ったのに・・・』と女将。でもお客様に喜んでもらえて良かった。

日帰りの別のお客様が帰り際、『孫を仕込む勉強になった』と。失敗を重ねて

鵜のことがまだ解かり始めた程度のこと。いわんや自分の子のことをや・・・


07 月 13 日(Sunday)
 今日は出来るだろうか?かなりの高水位・・・対岸の浅瀬のみの短い鵜飼と

なってしまうのでできればやりたくない。昼の川の状態では普段通りの鵜飼

が出来そうだったので船頭の頭から『やる』との連絡が入る。しばらくして雨が

降ってきたので再度確認。短い鵜飼になればお客様を乗せない趣旨を伝え

ました。夕方からかなりの雨が降り注ぎ、結局は対岸のみと決定。お客様に

意向をお聞きすると、子供がいたりでやはり怖いので止める、と。僕もそれを

勧めた。遊船船頭にその旨を話して確認をとるものの、話がもつれ血も昇り

かっとなって遊船船頭の頭と激しい口論となってしまいました。、お互いの言

い分に非はないし長い付き合い。すぐに丸くおさまりましたが・・・

 雨が降りしきる船着き場。さっきの頭が言い寄ってくる。『何でうちらがこうも

やりあわなあかんのや?うちら遊船会社の雇われ船頭やで?雨降る度に困

るで〜』 つまりここ小瀬鵜飼は小規模経営なので常時会社事務員がいない

のが原因。3時からしか受付のおばちゃんは来ないし、客がない時なんかは

5時頃帰っちゃう時も。今日のような日曜は臨時の雇われ人・・・。結果雨降り

時の運行判断は船頭が行うんです。予想は予想で船頭によってばらばら。

頭は本当に気の毒なんです・・・

 うちのお客だけ半数以下になりました。『小瀬鵜飼の良さを知ってるだけに

今日は止めときます。』 半分は旅館で”さんまのからくり”の鵜飼を鑑賞。

  水位の上昇が懸念され、早めの鵜飼。かなりの流れで下り時間は6分。

大きな鮎を20匹ほど咥えた。自分の意志で乗船を希望されたお客様がた

は満足された様子。こういう洪水の場合の短い鵜飼に限っては、お客様が

予約されたからただ乗せるのではなく、低価格にするとか意思を問う必要が

あるべきだろう・・・今までお客様の声を聞く限りの率直な感想です。
 

 


07 月 14 日(Monday)
 昨日の雨で今日は鵜飼はなかった。昼と夕に鵜飼の説明をさせていただく

が、夕方の説明後の鵜に餌を与える時感じたこと・・・・・食欲の多さである。

去年までと違って鵜との信頼関係に日々築き上げる努力をしてきたこと加え

餌や、首結いの締め加減が解ってきたことがあろうか。

7月半ばというのにあまりに涼しいので梅雨明けの暑さに鵜が参ってしまうん

じゃーないかと思い、ここ数日前から少し餌を増やす。夏バテ予防にうなぎを

食わすわけにもいかない。脂が多すぎ羽が乾かなくなってしまい、これまた

鵜が難儀してまうから・・・今のところはホッケ(北海道産)の量で体調管理。


07 月 15 日(Tuesday)
 鮎は今年一番の値をつけた。そもそもの理由は度重なる降雨による長良川

の絶え間ない高水位のせいである。今日なんか市場で60枚程度しか出回ら

ず、魚田さんのとこに岐阜市の業者から分けてもらえないかと電話が掛かっ

てきた程・・・。大将の心意気でうちにとっておいて貰えましたが、今年は冷や

冷やもんです。鮎はかなりいるみたいだが、何せ夜網がまだ1回できただけ

なんて・・・。こんな年もそうは無い。

 昼前、涼しい風が吹き通るようになったので坊主とメルを連れて川筋を散歩

に出かける。水たまりのおたまじゃくしやゲンゴロウを眺めていると、知らない

うちにトンボが群れなして頭上で飛び交っていました。50匹ほどの群れだ。

 表庭の芙蓉の花も開いてアゲハ蝶が二つ行ったり来たり・・・


07 月 16 日(Wednesday)
 梅雨の晴れ間が覗く。強い日差しであったが一日中爽やかな風も吹く。

母屋の窓をすべて開けると鵜の庭へ風が吹き抜ける。

 夕方船頭がうなぎの群れを見つけました。船付き場の浅いところ・・・放流

ものだろうか。若い船頭が3匹捕まえた。子供に見せたかったので一匹もら

うことにしたがつるつる滑って持てない。うなぎの持ち方知らんのか、と客に

笑われました。鵜匠も難儀するんです!・・・後から船頭に教わりました。

 夕方鵜飼、上流へと上る。お客さんらに足を運んでもらい鵜飼の説明。

小瀬鵜飼は初めての方たちばかりでした。河原の石に座してまじまじと聞き

いってもらうと途中いきなり1人の方が仰向けに倒れる。酔っ払ったうえに

僕の真面目な長い話で・・・?どうやら俳句を考えていたそうで、説明が終わ

ると同時に一句御披露。今日の鵜飼は期待してくださいと申し上げ、暗くな

る前に客船に戻ってもらう。

 鵜飼開始。乗り廻し(出っ鼻)で30cmの川鯉を捕らえる。お客の前で捕っ

てほしかったが予想通り心配いらず、山際の縦壁付近から咥えっ放し。

『いや〜、話には聞いてたがすばらしかった』 とのお声を頂戴しました。でも

こんな日ばっかりじゃないですが・・・今のところは調子がいい。

今日は自信があっただけに下見のCBCラジオのスタッフを鵜飼船に乗せま

したが、やはり満足されてました。狼少年にならず 『ほっ・・・』



07 月 17 日(Thursday)
 『かくのう』と呼ばれる大きな渦を巻く場所がある。その名の通りその中に

は多くの魚、豚のような丸々太った鯉の群れや大鰻が今でも生息しており

水が大きな時に船なんかが近ずこうもんならなかなか出て来れない・・・・・

まさに格納庫。30年程前には周りに小さな渦もあって、ボートなんかを近く

にやると回転して飲み込まれ、10m下でゴボッ!と出てきたそうな。しかも

昔のきつい子供らはそれに自ら入って楽しんでたそうです。

 そこはちょうど上流部の屋形船を停留するところの先にあたる。夕方鵜船

で上っていくと、『かくのう』の浅瀬に差し掛かった時のこと・・・

 先方の艫乗りが大声を上げる。見ると眼下には1m余りの川の主である大

サンショウウオ。中流域ではめったにお目にかかれないので拝ませてもらう。

見れば見る程現代の動物には見えない。しばらくしてから船を進ませ再び

見に戻る。先輩鵜匠がそこいらにあった棒切れで触ると深い『かくのう』へと

潜っていった。ああいう神聖な生きもんはこれからも大事にしないとあかん。

 長良川はまだ平水時より少し高い状態。30匹ほどの鮎を捕らえました。

しかしいいものを見させてもらった。お客さんにも見せたかったなー・・・





07 月 18 日(Friday)
 三連休前で鵜飼も賑わいを見せた。鵜船は久々に3隻出揃いました。

しかし今夜はあまり魚を咥えなかった・・・というよりも鵜船の上から魚影が

ほとんど見えなかった。前日までと大違い。結局13匹程度の鮎のみ。

たしかに今日鮎之瀬橋から長良川を見下ろしても鮎の群れはほとんど見え

ず、目立つのは度重なる中途半端な雨によってもたらされたおびただしい

砂の帯・・・一面。鮎の寝床が無い。それに加えてこの水の透明度!連休に

よる工場の休みで汚れた水も流れない為である。見渡せる砂漠のような場

では鮎も捕らえれない。終わってお客さん、『今日はさぼっとったなー』

いやいや、とんでもない。鵜は毎日一食で腹八分目。目の前魚がおりゃー

咥えるし、石があれば裏まで探す鵜飼の鵜。こういう日は鵜もストレス溜ま

るし倍疲れる。スキー場開発や上流部のブナ林伐採、絶え間ない道路の

建設・・・それによってやって来るお客さんあっての商売とは因果なもんだ。


07 月 19 日(Saturday)
 午前中のこと。魚田さんがみえて鮎の仕入れをしていた時、『おーい!悪

いが暖かいお茶を一杯くれ〜』 と顔馴染みの若い船頭。どうやら人が流され

たとかで、行ってみますといい年こいたおじさんが酒でへべれけになって泳

いだ挙句に流され、瀬の一歩手前で岸に辿り着き知人らに世話してもらって

いた。毎年夏休みやお盆の時期になるとこういうことが度々あり、悲しい結果

になることも。

 夕方には雨も小雨となった。鵜飼船は3隻。捕れた魚は鮎が八匹、ばばあ

(オイカワのこと)が3匹、川鯉1匹。今日の川ではこんなもんか・・・。


07 月 20 日(Sunday)
 学生時分、大阪にいるときにお世話になったジムトレーナーが立ち寄られ、

鮎料理を御馳走する。当時の話を聞いては懐かしい思い出に浸る。

 別のバスで来た、仕事仲間である大阪のお米屋さんの集まりも今回は皆

夫婦揃って・・・『たまにゃ〜嫁はん労わらんとな!』 いいことです。

 夕方から急に体が酷くだるくなり、寒くて仕方が無い。先日の坊主の風邪を

もらってしまったようだ。蒸し暑いなか一人タートルネックに下は股引まで履

いて川へ向かう。悪いことは重なるもので雨に降られながらの鵜飼。今年初

の二部まである・・・。普段熱なんてないもんだから、やけにしんどい。

気合じゃ〜と叫び、かがり火を押していざ出航。一部、二部共に鮎をよく咥え

まして、疲れも忘れる。

 9時に2部の鵜飼が終わり屋敷へ戻るとHPを見て来られた日帰りのお客さ

んが鵜の餌やりを待っていたという。せっかくだから雨が降ってたが説明させ

てもらう。

早く風呂に入って休みたかったが、これまた雨のため鵜の羽がなかなか乾か

ない。結局10時頃あがり、やっと熱〜い風呂に入れた。たいてい微熱の場合

は熱い風呂に入って汗かいて寝れば直る・・・さっぱり!と思って体温計を見

ますと39.2度・・・『風呂入ったでやろー・・・』 しばらくしてはかり直しても大

して変わらず、頭を氷枕で囲んで寝ました。



07 月 21 日(Monday)
 朝、起きてもまだ体は冴えない。計ってみると八度三分。余計にだるくなり

ましたが鵜を出しに鳥屋へと向かう。僕のHPを見ていらしたというお客さん

が多く、鵜の説明を少しさせてもらいました。

 深夜の豪雨で川はまっ茶色となり、鵜飼は早々と中止決定となりました。

しばらく横になって休み、午後から鳥屋の掃除。3時頃早めに見えたお客さ

ん・・・ 『形だけでもいいから今日の鵜飼何とかならんか?』 そう頼まれても

中止と決まったなかでうちの客だけに船は出せない。かなりの偉い様が来

るらしく、この方の小瀬鵜飼に連れてきた顔もあるし・・・。結局、かがり火を

つけて鵜匠衣をまとい鵜を使って説明することを提案。お金はどんなけ取っ

てもいいと言うが、せっかくだから他のお客さんにもお見せしてあげたいので

いただかないことにする。(後から高価なお土産はたくさん頂きましたが・・・)

料理が終わってから庭で鵜に餌を与えるのをお見せし、暗くなってから川で

かがり火の燃えるなか説明をする。昼間たまたま川で話してた船頭がしらに

来てもらい補助してもらう。もう1軒の鵜匠船頭も船洗いに来ていまして、こ

の方にもまた助けていただきました。ありがとうございました。

 偉い様も他のお客さんも船脇で僕の下手な説明を聞いてくださいました。

終わってから船頭がしら、『俺も知らんこと聞けて勉強になった』 と彼も金を

受けとらないので労って家ん中呼んで酒でも飲んでもらいました。

そして今度は彼の口から僕の知らない小瀬地域の歴史を聞かせてもらう。

彼の話も僕の話も、中間の世代の人間なら聞こうとしない代物。だから歴史

はその都度いいように理解され歪曲され伝わり、そんなことが教科書にも

載ってしまうのだろう・・・。時代ごとの権力者が必ずしも正しいことだけを残し

てきたとは考えられないが、それのただただ鵜のみ教育に徹してきたなんて

悲しいこと。周りの年寄りに話しを聞いたほうが歴史は本当の意味で理解

できる。唯一、欠点は皆言う事がバラバラ(笑)。でもそこが面白い。


07 月 22 日(Tuesday)
 朝から夏らしい日差しが照りつける。鵜の庭に水撒いてると蝉が池の水ん

中へと飛び込んだ。鵜に喰われかねんと坊主にそいつをタモで取らせる。

鳥屋から出た鵜たちも勢いよく池の中へと飛び込み羽を洗う。

今日は法事の日でお寺へお参りに行った後母屋でおっさま(寺の住職の意)

にお経をあげてもらい岐阜の長良川鵜飼にある杉山旅館へ。

 大変景色の良いお部屋でお食事させてもらいました。長良川を見下ろして

目の前には金華山、そしててっぺんには岐阜城である。で、子供達のお膳も

その『岐阜城』をかたどった三段のお弁当箱と、楽しい演出である。お料理も

とてもおいしいもので満足のいくものばかりでした。

 夕方、関市『フェザー剃刀』の社員家族様が大勢で鵜飼見物にみえました。

小瀬鵜飼を関市という地域の大切な伝統文化としてご理解をいただき、毎年

恒例の行事でお使いいただき大変うれしいこと。大勢とあって鵜船も3隻出ま

した。ちょうど良い向かい風に加えて大雨後の川。3番くじを引いたうちの船、

残った山際を行く。縦壁の淵に差し掛かると10羽の鵜が一斉に鮎を咥えに

かかった。『ほー、ほー』と鵜を励ます声も高まり、船頭らも船縁叩いて鮎を

騒がす。捕れた魚は40匹あまり。親子さん共に満足して帰られました。


07 月 23 日(Wednesday)
 雨降り続くなかの慌しい一日。朝次女を名古屋空港まで連れて行き、正午

に小瀬へ戻る。着くなり鳥屋の掃除、鮎の仕分けに追われました。。すべて

ピンピンの良い鮎ばかりだったが特に目を引く今年一番の見事な鮎が1枚。

鮎なんてもんはあまりに大きすぎてもうまくないが、今日のが焼くのにも、食

べるにも最高でしょう。20cm余りの釣り鮎。これは東京からのお泊りさんに

行くことになったが脂が表面をすっぽり覆って黄金色に焼きあがる。単に大

きいだけの3倍体の鱗が荒いものと違って大きいけれど鱗も細かい。(それ

でも食事後お客さんは雑炊が一番おいしかったとか・・。そう、やはり肉自体

は15cmまでが実際おいしいんです。)

お食事にみえていた元横綱(元高○山。現役時以来、数十年ぶりの訪問)

とうちの坊主の2ショットは化け物に見えたのか、館内に雄たけびが響き渡

り、その狂乱ぶりにタオル投入。撮れずじまい・・・。

 今日は御料鵜飼。長良川の水位は今回も最高の状態だったが、この容赦

なく降り続く雨に戸惑い、夕方まで式部官に正確なサインは出せなかった。

 『いざ!』 暗闇待つ間にもみるみる長良川は大きくなっていく。くじ引き3番

で、残ったど真ん中を狩り下る。水の流れの速いこと!雨にも負けずかがり

の炎は燃え盛り、その咥えること。前回程でもなかったが鮎之瀬でも大きな

鮎をどんどん咥える。喉元ぽんぽんになったのを手繰り寄せては『よう捕った

よう捕った!』 、吐かせる、の繰り返し。匹数では50ほど、と前回までには至

らなかったが大きなものばかり!『こんないい川で今年二度もできるなんて

・・・これからそうは無いだろうな』 と船頭。

 さすがに帰りはきつかった。闇夜といえども竿差しながら瀬を上る船の中、

波の流れに目をやると、まるで海ん中をモーターつけて走ってるように錯覚

するくらいの水量と勢いである。そりゃ、脇腹も痛くなるわけである・・・。


07 月 24 日(Thursday)
 昨夜の雨で長良川は赤濁りの洪水となった。もちろん今夜の鵜飼は中止

だし、食事のお客様も昨日のうちに連絡(鮎が捕れない為)し全休になる。

よって昼からは念願の『日本昭和村』へと出かけることに・・・

 車で20分ほど。1時半に到着したがうちの坊主、熟睡中につき2時まで車

で待つ。外でタバコでも吸ってると駐車案内のおっちゃんがやって来た。雲

ゆきが怪しいが雨はどうかと嫁が問う。おっちゃん 『なーに、大丈夫さ!』

言った矢先に車のボンネットに雨粒びたん!照れながら去って行く・・・。

 2時と同時に寝ぼけ眼の坊主を連れて入場。なかなか素敵な感じです。

やはり子連れの家族が多く目立ち、じいさんばあさんと一緒だったり。いい

ことですね〜。さすが夏休みです。周りは完全に山に囲まれ蝉の大合唱で

なぜかもうツクツクボウシが鳴いていたしコスモスが一面に咲いてたりと、

不思議でした。2人乗りのカヤックに乗り込んでは鴨の群れを追っかけたり

ゴーカートに乗ったり、路上を巡回する汽車のようなバス・・・。坊主が怖がり

できなかった『人口芝の急斜面をそりで滑るやつ』は次回の楽しみだな。

その下にある100円入れて動かすやつが一番のお気に入りだった様子で

ブリキでできた機関車のもの。その動きが妙にレトロ・・・というか壊れそうな

感じで、見ていてその小刻みな震えが実に面白い。真顔で 『ガタンゴトン、

ガタンゴトン・・・』 ホッペがプルっプル震えて。

 僕が今日一番嬉しかったのは駄菓子屋で『おばけのけむり』に出会えた

こと。見つけるなりその蛇腹の封筒をピッ、と取って嫁のレジへと駆けつけま

して・・・まだまだガキなんですね。1ヶ所、宮崎はやおのキャラクター店が

ありまして、なるほど意識してるのかーと感じた。坊主が見て喜ぶトトロの

ビデオの風景、或いはBBSのひまわりさんからお聞きしたところナイターで

は提灯が燈ったり近年中に温泉登場などは『千と千尋』といったところか。

子持ちの家族にはいいんじゃないかな?特に都会の人にはね。ただ小川に

魚影が無いのが惜しい・・・めだかでも入れればいいと思った。


07 月 25 日(Friday)
 今日のお客様にお断わりの御願いをする。長良川の水位が高いおかげ

で鮎が捕れないし、鵜飼も対岸のみの短い鵜飼となりそうだったので・・・。

 うちが使う長良川の天然鮎はいつもの時期の3倍!どこの鮎でもええー

からお客に食わせるような神経は持ち合わせてない。商売が下手である。

 遊船は大幅に減って3隻、鵜船はうち1隻となった。その少なさ故に何とか

普段通りの鵜飼ができて、山際を攻める。よーけ(いっぱい)鮎捕りました。

終わりがけに、川の大きな流れのせいで客船がこっち(鵜船)へ押し寄せて

きまして、後ろの岩壁とでサンドイッチされそうでした。危ない、危ない・・・

 少ないお客さんのおかげで何とかできた本日の小瀬の鵜飼でした。

 明日からはお客さんが多くみえるので、鵜を寝させたあとに池の掃除を

してあがる。しかしこの涼しさは季節感を狂わせる。おばけも寒ーて出て

これまいて・・・。日本の政治もアメリカに釣られて、大いに・・・狂ってる。

日本の法案可決を促すような先日再度の『戦闘終了』宣言。(前は戦争)

毎日TVや新聞ばかり見てると 『今日は何が起こった!』 と興味だけが

湧くが、数日ぶりにじっくり見ると何やら怖い。これから日本はどこへ向かう

のだろうか?間もなく自衛隊のイラク派遣法案も通過することに・・・

 アメリカのようにメディアに踊らされない為には何が必要か?今の社会で

は為す術もないのか。しか〜し、ただただ自分は1人前の鵜匠になるべく、

そして御料鵜飼で1匹でも多くの鮎を献上できるよう、日々精進あるのみ。

 


07 月 26 日(Saturday)
 梅雨明けだろうか?暑い日差しが照り込むようになった。今日は母屋で

お茶会があって賑わいを見せた。子供から大人まで着物の装いで風情が

あった。心地よい風が吹き抜けて着物姿がとても涼しげに見える・・・。

 今日は大勢のお客様がお目見えで、遠くの都市部の方が目立った。小瀬

鵜飼は初めての方も多く、鮎焼きから鵜飼まで普段より熱が入る。

 今日は2部の鵜飼もあった。風がよく吹いて長良川水位も良好!期待通り

に鮎もぎょうさん咥える。かがりの炎、火の粉も勢いよく舞う。御料鵜飼に負

けないほどの成果で鮎だけでも80匹。お客さんの深い感激の声を聞く。

 先日の『さんまのからくりTV』を見て来たお客さんも多く見えました。

『いや〜、やはりTVとは違う!あれにも感動したがやはり違う。いい顔してる

ねー。伝統文化を真に継承してる顔だよ。』 と誉めすぎの言葉を頂戴。

 まだまだ早すぎる言葉なんですね。とっても嬉しいけど・・・

12時頃まで遊船船頭の若い連中と楽しく飲ませてもらった。途中、かぶと虫

とムカデに水を差された・・・しかし大きなメスのかぶと虫だったなー。



 


07 月 27 日(Sunday)
 長良川の水の減りが遅いところを見ると、しばらく天気が続くみたいだ。

水位も依然高く風も強いので昨日ほどではないにしても、そこそこの鵜飼が

期待できそうだ。

 待ち時間の間、暇そうにしてたうちのお客さんに鵜を見せてあげ説明する。

プライベートでうちにみえてた芸能人の方にも鵜匠の格好して・・・。

 今日は2隻の鵜船でうちが前を行く。七つ岩の上を舐めるようにしてど真中

を下る。勢いよく松の炎が燃えあがり、水門前で見事な鮎を咥える。鮎は嘴

の中でブルブル反り返り、鵜の顔もプルっプル震えまして・・・5秒ほど経ち、

飲み込んだと同時に大歓声が沸き起こる。

今日の鮎の成果は25匹。TVを見てこられた若い男女や、岐阜から口コミで

みえたお客さんらに鵜の庭で説明させていただく。その後、あまりに見事な

今日の鵜が捕った鮎を写真に収める。(INFORMATION内にて掲載!)


07 月 28 日(Monday)
 ここ最近の鵜飼で鮎もすれてきた。すっかり魚影は見えない。見えるのは

度重なる中途半端な出水による(工事と山の開発による)砂で埋もれた川床

です。そりゃ、寝る場所(大きな石)なけりゃ鮎も影を潜めるって。

 だから鵜も一生懸命魚を探して岩に引っ掛かりもする・・・?

 昨日大きな鮎を咥えた辺りでした。一本の手縄が急にぴーんと張る。何か

に引っ掛かった!瞬間的に網か流木かと想像し、その縄だけ抜いて放そう

かと思ったが、炎に照らされるのは大きな岩場。もう持っていられない・・・

即、船の真中へと滑り込み、手縄を川上へと引くと運よく抜けた。その縄の

端は手の平にぎりぎり残っていまして、鵜も僕も憂鬱な夜を過ごすことには

至りませんでした。単なる岩で良かった〜!お客さんはさぞ不思議に思った

ことでしょう。船ん中、鵜飼の途中で鵜匠がつ、つーっと滑るんですから。

 捕れた魚はわずか13匹。鵜もおつかれ様です。でも引っかかるほど探さ

ないでね・・・。こんな川だから仕方ないけど、お互い心臓に悪いです。


07 月 29 日(Tuesday)
 今日は御料鵜飼の日でした。古田さんが3時頃到着。鵜飼の写真では右

に出る人はいないだろうが、「自分は写真家だ!」とは決して言わず、あくま

でただの写真店の主人であると言う・・・今ではなかなかいないすばらしい

お人柄。最高の1枚を死ぬまでに撮れるか(イメージはあるようだが、まず

無理だろうとおしゃっている)・・・その熱意、気構えは尊敬に値する。そして

僕はその手伝いが少しでも出来ればと思っている次第。

 お誘いしたにも関わらず今日は無風状態で、いい写真は期待できなさそう

と話していたら・・・鵜飼前から雲行きが怪しくなってきた。そしてちょっとした

雨が降ったおかげで風も吹きだす。おかげでかがり火もよく燃え、今日の

長良川の状態にしては予想を大きく上回る成果が出た。立派な型の鮎も

多く目立ち50匹余り。船頭も期待していなかっただけに驚いていました。

 鵜を寝させてから嫁を同乗させて式部官と共に献上鮎を岐阜の貨物へと

運ぶ。するとどうやら九州で再び大雨が降ったようで冠水の為列車が立ち

往生してるらしく、目処が立たないと駅長室。車に戻っていざ名古屋駅へ!

と走らせるが僕の運転では無事0時までに間に合うか分からない・・・という

ことで再び岐阜の駅に戻って列車で向かうことにしました。

 道中、現在使用されていない美濃市にある立花の御料場についての話に

深く及び、その利用方法の難しさを知ると共にわずかな可能性への情熱も

捨てきれない思いに駆られた。

 


07 月 30 日(Wednesday)
 今晩は鵜飼中止となったので鵜に餌を与えてから8時過ぎ、郡上踊りに

出かけた。東海北陸自動車道美濃ICに乗って25分で郡上八幡に到着!

今日の会場は河原町。車でうたた寝してた坊主も闇夜に浮かび上がる灯火

や朱色の稲荷の鳥居、町中流れる水路の音、そして聞いたことがある馴染

の音色・・・太鼓に笛、三味線に乗って聞こえてくる『郡上のな〜・・・』で完全

に頭を上げた。山車を囲んであらゆる年代の人間が踊っている。見物客は

ほとんど無く、皆踊っている。この囃子の音色、そして多様な踊りと踊り安さ

が郡上踊りの魅力なのでしょう。しかし心地よい。子連れだからといって見て

るだけでは気もおさまらず体もうずうずしてきた。よって坊主をおんぶしたり

肩車なんかして輪に入る。若い連中も別の踊り輪作っては微妙にアレンジ

した踊りを披露し、しばらくすると2人が3人、3人が5人・・・だんだん大きく

なっていく。カキ氷食いながらうちの坊主もその輪に入っては出ての繰り返

し。平日だから夜店も少なかったが大いに満足しまして10時に帰路へ。

 以前郡上踊りのCDをフランス人にあげてしまったので今日再び購入して

車中聞いて帰る。『もっと(音量)大きくして〜』 と坊主。そして『また来る!』

と既に予定を決められてしまいました(笑)。そいつぁー合点承知の助よっ!

 
 帰って明日の調理場掃除の準備。知らぬ間にうたた寝して2時。これ書い

て早よ寝よ。明日からは暑くなろうし・・・。


07 月 31 日(Thursday)
 今日はちょこっと夏らしい暑さ。夕方まで厨房の床掃除。途中暇を作って

手縄の鵜を結う部分を付け替えた。夕方坊主を連れて上流へと向かう。

最近やたら 『船に乗りたい!』 と言い寄るも 『今日は水が大きいから駄目』

と断わってばかりで・・・乗りたくない、と言われないうちに乗せようと思い立ち

ました。船の中で鵜を1羽ずつ籠から出して体調を見ていると、鵜船の脇の

水際にやってきた。靴も少し濡れたので 『お母ちゃんには言っとくから・・・』

とGOサイン、出すや否やにっこにこの表情でバシャバシャ入って行く。

先輩鵜匠の息子さんが傍らに来て相手してくれました。予想通りズボンも

ズブ濡れになり、すっぽんぽんで靴履かせて続けさす。持ってきてる鵜の

餌となるホッケを1匹放り込んでやると投げては遊ぶ。すると調子ずいてちょ

こっと深いところへ行ってしまい、こっち見て苦笑い・・・自分でやったんだ

から持ってきなと言うと、体を水に浸かって冷たいのかびっくりした表情で

『ふ〜っ・・・』 と息吐いては掴んで来た。

船頭らも 『鵜よりよ〜仕込んだるわ!』 と大笑い。結局嫁が後から車でやっ

て来て甘え、また船頭に怖がらされては泣いて帰って行きました。

 鵜飼。昨日の濁りも一気に無くなり澄みきった長良川。思った程鮎を咥え

なかった。いい型の鮎10数匹に大きなウグイとオイカワ、そして川鯉1匹。

 鵜を船縁に揃え、順に紐を解いているとお客さんの坊やが今日は少なめ

かと問う。魚見せて『これ位なら御の字だよ』と返すと大人が笑う。目の前

でよく鵜が魚を捕るのを見えたと満足もされ、拍手いただき頭を垂れる。

 明日からお客さんも大勢みえるようなので、鵜を鳥屋籠に入れてから

念入りに池の掃除す。今晩は暑い。鵜も籠の中で喉を震わせていた・・・