<<企業法務>>

 

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【会社法】

 平成18年5月1日より、六法の一つとして数えられてきた商法から、会社に関する部分を独立させ、「会社法」という新たな法律が施行されました。これに伴い、最低資本金制度の廃止など、会社に関する新たな制度が多数導入され、会社の経営に関するツールが、飛躍的に増加しました。

 会社法施行までのように、会社といえば、規模に応じて、似たような定款を持ち、似たような登記簿の記載を持ち、似たような体制を持つ、というイメージではなく、会社の基本的な決め事である定款、経営の体制、意思決定の方法、経営のスタイルそのもの、登記簿の記載、全てが個々の会社に応じて、時に応じて、場合に応じて異なり、各社がオーダーメードの組織・体制をとることができるようになりました。

 会社と、株主と、債権者の関係の作り方の自由度が広がったのです。

 当事務所では、登記に限らず、組織、定款、など、企業様の経営に応じた、コンサルを提供させていただきます。


【公益通報者保護法】

 人の生命身体の保護のための法律、消費者の利益の擁護のための法律、環境の保全のための法律、公正な競争確保のための法律など、政令等に指定された法律に違反する行為を知った労働者が、不正の目的を持たず(公益のためといってよいでしょう)、

  労務の提供先(使用者)、
  派遣労働先、
  監督官庁、
  マスコミ・消費者団体
等へ通報した場合、この人に対する不当な解雇の無効を定め、降格などの不利益な取り扱いを禁ずる法律です。
 通報される労務の提供先には、私企業、行政機関、NPO、個人事情者など人を雇いその労務の提供を受ける全ての使用者が含まれます。

 上記の1〜3の通報先には順位はありません。したがって、労働者が通報先として3や4を選択した場合は、処理を誤ると、致命的なダメージが発生します。

 他方、労働者が、1を通報先として選択すれば、コンプライアンス経営、危機管理に大きく資することとなります。

 このために、使用者としては、労働者が安心して、1を選択できるように、公益通報を適切に処理する仕組みをつくっておく必要があります。

 当事務所では、公益通報者保護法第2条1項にいう「労務提供者があらかじめ定めた者」として、内閣府のガイドラインに沿った、仕組みを構築し、その運営をお手伝いいたします。


【LLPについて】

LLP(リミテッドライアビリティパートナーシップ)=有限責任事業組合について。

 平成17年8月より施行の新しい事業形態です。

 これまで、複数の人間が集合して共同の事業を行うには、主に、組合契約を締結する方法と、法人を設立する方法がありました。

前者を選択した場合は、各々の組合員が、各自、無限に(破産するまで)その事業の債務等の責任を負わねばなりません。

後者を選択した場合は、株式会社、有限会社、合同会社は、出資者が出資の範囲で有限の責任を負うのですが、法人格があるため法人税が課税され、さらに、個々の出資者には配当所得等にも課税がされます。

これに対して、有限責任事業組合は、あくまでも組合契約であるので、法人税が課税されず、各構成員の所得についてのみ課税され、各組合員の責任も出資を限度とする有限責任です。
ある程度「気軽に」新規事業を立ち上げることが出来るのではないでしょうか。

 利用方法としては、
  複数の専門家が集まって総合サービスを始める場合(例、損保の代理店と、生保の代理店の組合)、
  法人を立ち上げることを目指すが、とりあえず組合として起業する場合、
  老舗が暖簾を出資し、新規参入者が資金とアイデア問等を出資し、ブランドの再生を図る場合、
  専門技術を持つ企業が特定の商品開発のために組合を設立する場合
等等、規模の大小を問わず、さまざまな利用が考えられます。
 また、法人も組合員となれます。法人と個人の混成組合も可能です。

 留意する点は・・・有限責任なので、有限責任事業組合と取引をする債権者を保護するために、同時に当該有限責任事業組合の信用のために、組合契約を法務局に登記し第三者がこれを閲覧できるようにします。(法人格はありません。契約の登記です)また、組合の財務データの作成し保管し、希望する債権者への提示をせねばならず、債務超過の時には、組合員へ利益の分配をすることが出来ません。

 出資は財貨に限られます。アイデア等無形の価値化の難しいものを出す人も、何らかの財貨を出資する必要があります。

 損益の分配率は出資の比率とは関係なく決めることもできます。

 分配した損失は、個々の組合員の他の所得と損益通算することが出来ます。