岐阜・松尾司法書士事務所 中間省略登記のご案内

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第1 中間省略登記と直接移転取引


 平成16年の不動産登記法改正までは、売渡証書などの「登記原因を証する書面」が存在しない場合、登記申請書の写し(申請書複本)を添付することで登記申請ができました。
 これを利用して、実体上A→B→Cと所有権が移転した場合でも、登記原因を証明する書面を添付しないままA→Cと所有権が移転した旨の登記申請書とその複本により中間省略登記が行われていました。




 しかし、不動産登記法の改正により、登記申請に際して「登記原因を証する書面」を添付しなくてはならなくなりました。  この「登記原因を証する書面」に、実体上A→B→Cと所有権が移転したにもかかわらず、A→Cと所有権が移転した旨を記載して登記の申請をすることは、実体の無い事実関係を登記記録(登記簿)に搭載することにつながり、刑法にふれる可能性が生じます。

 このような理由で、判決などによるものを除いて、「中間省略登記」は行われなくなりました。


 ところで、「第三者のためにする契約」(民法537条から)として、あるいは「契約当事者の地位移転」として、中間者Bの対象不動産への占有や支配状態を経ながら、A→Cへと所有権を移転することは不動産登記法の改正前後を問わず可能であるとされています。(これを以下において直接移転取引といいます。)


 ただ、宅建業者がこれを行うには、宅地建物取引業法33条の2において「宅地建物取引業者は、自己の所有に属しない宅地又は建物について、自ら売主となる売買契約を締結してはならない」とあるため、自己の所有でない不動産に(在庫としての)支配を及ぼしつつ直接移転取引を利用することは、同法違反となります。

 一方で、同条1号には「宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得する契約を締結しているときその他宅地建物取引業者が当該宅地又は建物を取得できることが明らかな場合で国土交通省令に定めるとき」と同条の例外が定められています。



 そして、平成19年7月10日に宅地建物取引業法施規則15条の6、4号において「当該宅地又は建物について、当該宅地建物取引業者が買主となる売買契約その他の契約であって当該宅地又は建物の所有権を当該宅地建物取引業者が指定する者(当該宅地建物取引業者を含む場合に限る。)に移転することを約するものを締結しているとき。」と宅地建物取引業法33条の2の例外が定められました。

 これにより、宅建業者Bが「宅地又は建物の所有権を、その宅地建物取引業者Bを含む、その宅地建物取引業者Bが指定する者に移転する契約」を不動産所有者Aと締結することにより、宅建業者Bは、中間者として、対象不動産に在庫としての支配を及ぼしつつA→Cの直接移転取引による登記を行うことも可能になりました。


第2 「第三者のためにする契約」による直接移転取引の流れの例





    A(諾約者)―<補償関係>―B(要約者:通常宅建業者)
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                     <対価関係>
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                      C(受益者)


1、AB間で「第三者のためにする契約」を締結する(補償関係)


・ AB間で、Bが指定する者(C)に対して、Aが所有権を移転する契約を締結すします。
・ Bは所有権を取得しません。
・ Bが指定する受益者(C)には、B自らも指定されうる可能性があることが必要です。(上記平成19年7月10日改正の宅地建物取引業法施規則15条の6、4号に「当該宅地建物取引業者を含む場合に限る。」とあるため。
・ この@BによるCの指定と、Aその指定されたCがAに対して「Aから所有権を取得する」との受益の意思表示をすること、及び、BBがAへ代金を支払うこと、の3点が、AからCへ所有権が移転することの条件となる契約(第三者のためにする契約)をAB間で締結します。
・ AがBに対し、Cへの所有権移転の条件である上記Aの「受益の意思表示」の受領権限を与えることも可能です。

2、BC間で、(Aのものである)他人物(の)売買契約を締結する。(対価関係)

・ BC間の契約を、民法560条の(他人物売買)ではない、何らかの民法に規定のない無名契約により締結することも可能です。
・ しかし、Bが宅建業者である場合、Cに重要事項説明書などの宅地建物取引業法上の保護を及ぼすためには、BC間の契約は他人物売買契約とする必要があります。
Bが宅建業者である場合、Cに、宅地建物取引業法上の保護を及ぼすため処理を怠れば、消費者法上の責任が発生する可能性があります。
・ したがって、BC間の「対価関係」を生じさせる契約は、民法560条による、「Bが、Aという他人のものCに売却する」という他人物売買として契約することが無難でしょう。

第3瑕疵担保(民法570条)について

1、AB間の「第三者のためにする契約」においては、売主であるAが瑕疵担保責任を負担するのが原則です。
2、BC間の「他人物売買契約」においても、売主であるBが瑕疵担保責任を負担するのが原則です。
3、瑕疵担保責任は契約で免除することができますが、AまたはB(つまり売主)が宅建業者である場合で、BまたはC(つまり買主)が宅建業者でない場合は免除することはできません。
4、これを逆手に取り、A⇒B(宅建業者)⇒Cエンドユーザーという取引の場合、Aが負うべき瑕疵担保責任を免除し、プロであるBが瑕疵担保責任を負って、取引の安定を作り出すこともあり得ます。


※ 1の契約と2の契約の間に、タイムラグを発生させ、その間に宅建業者が開発やリフォームを行う場合は、1の契約以降2の契約までの間は、BがAに代金を支払った後も、所有権はAに留保されるため、1の契約の内容として、固定資産税などの負担はBが負うこと、対象不動産に危険が発生した場合の危険負担はBが負うこと、などについて、取り決めをしておく必要があります。
※ 対象不動産にある抵当権の抹消などは、1の契約でBからAに代金が提供された時点で行ってもよいでしょう。
※ Cは、2の契約時点で、AのBに対する代金請求権などの抗弁が消滅していることを確認する必要があります。
※ 「契約上の地位移転」により、直接移転取引を行うことも可能ですが、上記のように宅地建物取引法上の保護をCに及ぼすことができないため、業者間の取引などに使用は限定されるでしょう。
※ 契約当事者が3名存在するので、各人への説明、各人への理解が肝要になります。
※ 危険負担の移転、手付けの処理、占有移転など、登記以前の契約を考える段階で処理しなければならない問題がいくつか存在します。当事務所では、これらについてもご相談に応じています。
※ A→B間の物権変動が存在しないため、Bが登録免許税や不動産取得税等を負担する必要は生じません。 一方で、Bは売買対象不動産に対して在庫としての支配を及ぼすことも可能になると思われます。 これはBにとってメリットと言えるでしょう。

※ 当事務所では、ご相談いただければ、瑕疵担保や危険負担などでお困りになることの多い契約のアレンジから登記まで総合的なサービスを提供いたします。



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