Amsterdam Club Report

アムステルダムが世界有数のクラビングシティとして知られるようになったのはいつの頃からだろう。1960年代、ニューヨークのヘルズ・キッチン、シカゴのレビュー、サンフランシスコのバーバリー・コースト、パリのピガール、ハンブルグのレイパーバーン、そしてアムステルダムのレッドライトディストリクト。これらのエリアは、都市のアンダー・ワールドに属していた。娼婦、犯罪者、同性愛者からボヘミアンのアーチスト達まで、いわば都市の合法的空間からはみ出た連中の巣窟と化していた。セックス、ギャンブル、ドラック、ジャズ、ロック、-etc-。そこには様々な負のアンダーグラウンドカルチャーを育む土壌があった。HOUSE MUSICもまた、そんな都市の闇から発生した音楽、もしくは文化の一つといえるであろう。『もし、ストレートな社会に俺達の居場所がないのなら、俺達は俺達自身の世界を作ることができたのだ。』NY育ちの生粋のストレンジャー、メルシャーレンの声明文である。(実際に彼らが築きあげた「パラダイスガレージ」は、当時の裏NYを象徴するクラブとして、いまもなお伝説として語り継がれている)
アムステルダムはいち早く売春とドラックという世の中の2大タブーを合法化した都市として、当初から各方面の注目を集めてきた。1972年には世界で最初の合法的なハシシ・バーができ、1976年に議会の決議案で正式にドラック解禁となるに至っては、あらゆる束縛からの開放を求める人々の聖地として、ヨーロッパ中の若者が憧れるモノホンのジャンキーシティとなったのである。今や、人口がたかだか百万人足らずのこの街には、NYや東京を凌ぐほどの大小さまざまなクラブが犇いている。週末ともなれば、世界各地から未知なる刺激を求めてやってくる奇異な人々が後をたたない。この街には間違いなく他の都市にはない「何か」がある。人によってはそれを「自由」と呼ぶ。飾り窓であれ、マリファナであれ、その責任を自分で取るかぎりは何をやったってかまわないのだ。世界中でもっともフリーキーな人々と出会う可能性がある街、それがアムステルダムであり、そして、その人達と何処よりも気軽に出会えるのがクラブという空間なのだ。この街はいつだって退屈だったことがない。



PARADISO  − Weteringsschans 6-8 Amsterdam. Tel 626-4521

ここに行かなければアムスのクラブを制覇したことにはならないと呼ばれる世界的に有名なハコ。60年代、ロックの殿堂としてロンドンのマーキーとともに一時代を築き上げ、今もなおアムスを代表するライブハウスとして君臨している。もともとここは中世に建てられた教会で、古色蒼然とした外観、ゴシック様式の荘厳な内装には圧倒される。見上げるような天井にはお決まりのキリストを賛美する宗教画、巨大なステンドグラスからは淡い月明かりが差し込み、その美しさに思わず目を奪われる。(先日、久々に遊びにいたっらそんなもの何処にもありませんでした。目の錯覚?勘違いだったようです。笑)場所はライチェ広場から徒歩1分。国立博物館からも近い。建物の周りに当日のライブアクトのポスターが張ってあるからすぐわかる。午前12時前に行くとワルツやタンゴなどで皆さんリラックスして踊っている。この雰囲気がまたサイコーなんっすよ!小生が行った日はたまたま80年代のエレクトロナイトで、午後の早い時間にはトムトムクラブ(懐かしい!)のライブで盛り上がっていた。  現場の模様を緊急UPしました。↑の写真をクリックしてね♪

 

SOUL KITCHEN  − Amstel Straat 32 Amsterdam. Tel 620-2333

ガラージやダンスクラシックスの熱狂的ファンで、D・マンキューソやラリー・レバンを崇拝し、80年代のパラガラやロフトに一度でもいいから足を運んでみたかったとお思いの筋金入りのハウサーならば、さしずめここは失われた楽園のように感じることだろう。「SOUL KITCHEN」はアムスきってのブラックミュージックファン御用達のクラブ。アダルト指数が高く、店内にはソウルフルなヴァイブが充満している。厳密な服装チェックがあるわけではないが、基本的に25才以上の人を対象にしている為、若く見られてしまう日本人は入店を拒否されてしまう可能性もある。パスポートや免許証など、あらかじめ年齢が確認できるものを用意しておいたほうがベター。混んでくるとメンバー以外お断りになってしまうので、早めのINを心掛けたい。SOUL KITCHEN回想録は↑の写真をクリックしてください。ケリチャン@アムステルダム。18歳未満立ち入り禁止っス!

 

TIME  − Nieuwezijds Voorburgwal 163-165 Amsterdam.

かってデリック・メイがアムスに住んでいたときよく顔を出していたハコ。ここはアムスのクラブの中では比較的クリーンなイメージ。「オレらもさぁ〜、もうそろそろドラックにハマる歳でもないし、ソーユーことはティーンエイジャーか、観光客に任せるよ」といったスノッブな自称アムスっ子で賑わっている。音響重視の控えめなインテリア、飾り立てないクールな雰囲気はロンドンのMOSを彷彿させる。モデル並みの美人が多いことでも有名で、客に紛れ込んでファッション紙のスカウトマンもよく来ているとの噂。元スーパーモデルのクラウディア・シファーなんかもドイツのクラブでスカウトされたんだよねぇ、たしか。  客の服装もモノトーン主体でシックに決めている。大声で馬鹿騒ぎする奴も少ない。折角アムスに来たからっていうんで、クラブで思い切りはじけたいと思ってる人には少々物足りないかもしれない。

 

MELKWEG  − Lijnbaansgracht 234a Amsterdam. Tel 624-1777

「MELWEG」の歴史は古い。もともとはミルク工場だったところで、名の由来もそこからきている。70年代にはヒッピームーブメントのメッカとして国中に知られていた。現在も多目的ライブスペースとして活用されており、ジャズコンサ−ト、インディペンデントフィルムの上演や現代絵画展などのイベントが頻繁に開催されている。科学技術大学の資金援助によるマルティメディアセンターまで併設されており、東欧支援組織による政治的なリサーチ、オランダ在住の前衛アーチストなど、ここを拠点に活動している連中は多い。ある意味ヨーロッパソシオカルチャーの一翼を担う重要なスポットでもあるのだ。毎月第4土曜日のタイムマシンが好評で、レトロテクノで盛り上がっている。アムスのハコの中で最もキャパシティが多く、大規模な室内レイブなどはもっぱらここで行われる。

 

IT  − Amstelsteaat 24 Amsterdam. Tel 626-0111

アムスではまっ昼間っから、地球外生物と呼んでもさしつかえないようなぶっ飛んだファッションに身をつつんだ集団に出くわすことがあるが、その人達はほぼ間違いなくここの常連さんだと断言できる。アムステルダム最大のゲイクラブで、かっては世界で最もホットな乱痴気野郎のパーティー会場だといわれた噂のハコがここ「IT」だ。当時はキャンディーガールズと呼ばれるドラッククイーン軍団が仕切っていて、一般ピープルはなかなか近寄りがたい雰囲気だったのだが、今日では以前ほど敷居が高くはないのでご安心を。が、入場の際は可能な限り派手な服装で行くことを心掛けて下さいと一言アドバイスを付け加えさせていただきます。(笑)明け方近くになると、狂乱のあまりドルチィエ・アンド・ガッパーナのシャツやカルバン・クラインのパンツを勢いよく脱ぎ捨てる露出系のお兄さま達が続出。皆さん、全身から濃密なフェロモンを発散しておられます。他店ではなかなかお目にかかれない光景っス!(汗)  

 

ROXY  − Singel 465 Amsterdam. Tel 620-0354

ROXYといえばNYのチェルシーにあるゲイクラブが有名だが、元祖はここ。アムスで最初にハウスを回したハコで、マドンナやボーイ・ジョージ、ローリングストーンズなどのVIPもオランダへ立ち寄った際に必ず顔を出すことでも知られている。毎週水曜日に行われるゲイナイトが俄然盛り上がっているらしい。(私は入場を断られた)かかるネタはハードハウスがメイン。不定期でハードコアNRG(180BPM!)のパーティがあり、汗まみれで痙攣に励んでいる男衆の図は壮観な眺めである。毎月第三日曜日に行われるプッシーラウンジも面白い。選ばれた女性だけしか入れない地元でも有名なレズビアンパーティで、某有名国際女優もリピーターの一人だとか。何か一般の人は立ち入り禁止のような雰囲気があり、日本人同士がつるんでいくとまず間違いなく愛想のないドアマンに追い返される。この手のクラブはドレスコードが厳しいのだ。入場の秘訣はこれでもかとばかりバリバリのゲイファッションで行くこと。レザーやラバーの上着、スモールサイズのTシャツ、さらに細身の革パンツといった格好がベストだ!(^^i) 女の子だったらチャイナドレスとか着物とか、とにかく目立った格好で行くのが一番。私は出陣の際、全身をスカルファック用のなめし革で覆ったヘルムート・ニュートン調のボンテージファッションで決めてみました。(ウソ)このクラブに限らずアムスでは何かにつけてブッとんだ人間が歓迎される傾向にある。ちなみに毎年8月の最初の終末にアムステルダムプライドといって何千何百というゲイやレズの方々が町中を走り回るっていう国際的イベントがある。想像しただけでワクワクしてこない?(こねーか?)

 

MAZZO  − Rozengracht 144 Amsterdam. Tel 626-7500

世界中を旅するトランス好きの人なら一度はここの名前を耳にしていることだろう。アムスで最も古い歴史を持つクラブの一つ。ハコそのものは決して広いとはいえないのだが、店内は独特のサイケな雰囲気で、一発でそれとわかる○○○の臭いが充満している。たった今、インドのゴアから帰ってきたばかりだという体中刺青だらけの兄チャンや、チベットに3年いたっていうスキンヘッドのドイツ人カップルなど、いつもその手の?濃い人達で賑わっている。かってここは地元の警察によって営業停止処分を受けた経緯があり、ハードドラックの所持に関してはかなり厳しい。入り口で入念なセキュリティチェックがあることをお忘れなく。

 

ESCAPE  − Rembrandtsplen 11 Amsterdam.

アムステルダムのクラブの中では比較的地味な印象で、海外のゲストDJよりも、むしろオランダ国内で活躍しているDJがメインのようだ。地球の歩き方にも掲載されていて、日本人の顔もチラホラ見かける。週末は70年代、80年代の往年のヒット曲でそこそこ盛り上がっているが、ここの隠れたメインイベントは何といっても毎月最終日曜日に開催される「アワーパワー」だろう。プレイされるジャンルは勿論BPM200におよぶかと思われるケミカル色の強いダッチトランス。週末にクラブで一晩中踊り明かし、それでも物足りないイカれた連中がここに集まってくる。金曜の夜知り合った奴が日曜になってまだ踊っていたなんていう話はここアムスでは日常茶飯事。我々農耕民族には決して真似の出来ないアングロサクソンの逸脱したパワーを垣間見るにはうってつけの場所かもしれない。

 

CONCRTGEBOUW  − Van Baaerles straat Amsterdam.

アムステルダムはナイトクラビングが面白いだけじゃない。ウィ-ンのムジークフェライングローサーザールと並び、ヨーロッパで最高の音響を誇るコンサートホールがこの街にはある。その名は「コンセルトへボウ」。ウィ-ンフィルやベルリンフィルとともに世界三大オーケストラと称されるロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の根拠地である。嬉しいことに10月から3月にかけて毎週水曜日に無料のランチコンサートが開かれる。日本で聴いたらチケット代だけで何千円と取られる演奏がタダですよ。タダ。クラシック音楽といっても構える必要はなく、ジーンズやスニーカーでもOK。リハーサルも兼ねている公開練習なのだが、演奏が素晴らしいことには変わりがない。夜遊びに飽きたら是非どうぞ。


☆ 随時、レポはUPしていく予定です。感想、質問、皆さんの行かれたクラブの情報もお待ちしています。