あとがき

 
 まずは娯楽小説、月テンテンを御愛読頂きありがとうございました。
 凡そ二年がかりで書いた作品ですが、書き終えてみて一定の満足感と後悔とが入り混じっている次第です。
 私の計画性のなさが原因なのですが、連載第一話と最終話とでは明らかな文体の異なりが見受けられると思います。これは私の技術が向上したということの記録にはなるのですが、初期を読んだ方が後期の内容を読むとまた違った印象を受けることもあるでしょう。その辺りで違和感を覚えた方にはここでお詫びします。読みにくくして申し訳ありませんでした。
 さて、本題の作品の内容なのですが、私は当初、ツキテンをただ無闇に暴れさせる爽快なアクションを目指していました。それが当時の趣味であったし、読者の方にも楽しんで貰えると思っていたからです。
 しかし私は途中から、殺し屋という人間の心情というのを掘り下げてみたくなりました。無闇やたらに人間を殺す少女の本質が知りたくなったのです。月天が最終話で自分の死に希望を見い出したのは、私なりの殺し屋の結論です。殺し屋として生きた人間の行きつく先は、こうであって欲しいという希望もあります。
 私は人が嫌いだから、彼女を残酷に描くことに熱心だったけれど、本質はそうであって欲しくないという矛盾を滑稽に笑って下されば幸いです。コンセプトこそ変わっていったものの、私がこの作品でやりたいことは全て書き切りました。
 まだ未熟で背伸びした作品ではあります。それでも私のやりたいことを少しでも感じ取ってくれればこの上なく幸せです。 人間の行き着く先の究極は、いずれも死です。
 
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