夏の背伸び

 
火花を落とす、線香花火。
私は海岸で独り、過去との決別を誓い、今までの地味な装いから一転した、やんちゃな衣装を纏っていた。
大胆に露出した左肩、右肩から脇腹に絡みつくナンバー付きのオプショル、厚めのガールズスーパーバギー。
花柄のシャツが精一杯のオシャレだった、前髪を無闇に垂らした過去の自分が嘘みたいだ。
軽い、親の過度な制圧から逃れ、私は押し殺していた自分を解き放った。
私は新しい自分に変わりたかった。
私が望んだ理想の私、地味で控え目な目立たない子はもう見たくない、人に後ろ指をさされるような醜い私には戻りたくない。
明るくて、活発で、声を出して笑いたいときに素直に笑える私で常にありたい。
ごめんね、過去の私。
そして、さようなら。
 
昨日までの私は、火花を落とした花火と一緒儚く散った。
 
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